〈求職者給付編〉失業時の生活の安定を図る!失業等給付について①


失業等給付とは


 今回は、雇用保険の中で最も受給することのある失業等給付がテーマです。
失業等給付は、失業した場合や育児または介護などのために休業をしなければならなくなった労働者の生活の安定を図るための給付です。

 失業等給付には、「求職者給付」、「就職促進給付」、「教育訓練給付」、「雇用継続給付」の4種類に分かれており、求職者給付は、雇用保険の被保険者が離職して失業状態となっている場合に、生活の安定や求職活動を容易にすることを目的として支給する給付です。
 
 次に就職促進給付は、失業者が再就職する際に支給するための給付、また教育訓練給付は、たとえば資格を取得するために学校に入学する際の教育費用を補助等をするための給付、最後に雇用継続給付は、育児や介護のため休業しなければならない被保険者に対する所得の補填として支給するための給付となっています。

 今回は、一般的に失業手当と呼ばれる、求職者給付の「基本手当」についてご説明します。

 

 

求職者給付・基本手当について


 基本手当は、被保険者が離職して失業している状態にある場合で、離職日以前2年間に被保険者期間が通算して、原則12か月以上あるときに給付を受けることができます。

※「被保険者期間」とは、雇用保険に加入していた期間のうち、離職日から遡った1か月ごとに区切った期間に、賃金が支払われた日数が11日以上ある月を1か月として計算します。

また、基本手当は離職日の翌日から原則1年の間に受給することができます。

 なお、基本手当の日額は、原則離職前6か月の賃金を平均した1日分の45%~80%を乗じた額となり、下限額と上限額が定められています。

 また、基本手当の給付日数は被保険者期間および離職理由等によって、以下の表のとおりとなります。

一般の受給資格者(定年・自己都合等)





障害者等の就職困難者





特定受給資格者(倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方)
一部の特定理由離職者(期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと等により離職された方)


特定受給資格者とは

 

 特定受給資格者とは、倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者を指します。具体的には、以下に該当する方をいいます。

〈倒産等により離職した者〉
① 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
② 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に 30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職した
ため離職した者
③ 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
④ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

〈解雇等により離職した者〉
① 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
② 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
③ 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
④ 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった) ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
⑤ 離職の日の属する月の前6か月間のうちに3月連続して45時間、1月で100時間又は2~6月平均で月 80時間を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
⑥ 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
⑦ 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
⑧ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
⑨ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑧に該当する者を除く。)
⑩ 事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した者



特定理由離職者とは

 

 特定理由離職者とは、具体的には以下に該当する方をいいます。

①期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)

②以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
・妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
・父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
・配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
・次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
ⅰ) 結婚に伴う住所の変更
ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転
ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
・その他、企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等



最後に


 雇用保険制度は、事業主の行う届出、申告等を前提にして運営され、事業主は新たに従業員を雇い入れたり、従業員が離職したとき、あるいは事業所を設置するときなどには、それぞれ所定の届出書によって公共職業安定所に届け出なければならないことになっています。

今回は、求職者給付のうちの1つである基本手当についてご説明しました。ほかの手当については次回ご説明しますので、しっかりと確認のうえ、適正な運用に努めましょう。