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〈雇い入れ時および派遣時の明示編〉労働者派遣事業の契約書について④


労働者派遣事業に必要な契約書とは


 前回に続いて、労働者派遣法第26条に定められている労働者派遣事業の契約に必要な書類について説明します。
労働者派遣法第26条では、以下の内容について定めています。

(契約の内容等)
第二十六条 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。※以下省略

労働者派遣事業の契約について必要な書類は以下のとおりです。
①労働者派遣契約書
②就業条件明示書
③派遣先通知書
④派遣元管理台帳
⑤派遣労働者を雇い入れようとするときの明示
⑥労働者派遣をしようとするときの明示
⑦待遇に関する情報提供

今回は、「派遣労働者を雇い入れしようとするときの明示」、「労働者派遣をしようとするときの明示」に記載すべき内容について見ていきましょう。

 

 

派遣労働者として雇い入れしようとするときの明示及び説明とは


 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、文書の交付等により、労働条件に関する事項を明示するとともに、均等・均衡待遇の確保、労使協定に基づく待遇の確保などの内容を説明することが、派遣法第31条にて義務づけられています。

これは、派遣労働者の雇入れ後に労働条件に関する疑義が生じることも少なくなく、派遣労働者の不安や不満を解消することで、派遣労働者の待遇に関する納得性を高め、紛争の防止を図ることを目的としています。
なお、派遣労働者の雇い入れにあたって明示すべき項目は以下のとおりとなります。

〈記載すべき項目〉
①昇給の有無:一つの労働契約の中での賃金の増額をいう。したがって、有期労働契約の契約更新時の賃金改定は、「昇給」に当たりません。

②退職手当の有無:「退職手当」とは、労使間において、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確になっており、退職により支給されるものであればよく、その支給形態が退職一時金であるか、退職年金であるかを問いません。

③賞与の有無:「賞与」とは、定期又は臨時に支給されるもので、その支給額が予め確定されていないものをいいます。

④協定対象派遣労働者であるか否かの別:協定対象派遣労働者である場合には、当該協定の有効期間の終期を記載すること。

⑤派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項:派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主及び派遣先において苦情処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を記載すること。

 なお、明示は、文書の交付、FAXまたは電子メール等(FAXまたは電子メール等による場合にあっては、派遣労働者が希望した場合に限る。)の送信により行わなければならないとされています。

また、派遣労働者への説明にあたって、以下の①から③に掲げる内容を説明しなければなりません。

①「派遣先均等・均衡方式」、「労使協定方式」に関して、講ずることとしている措置の内容:派遣労働者の待遇のうち均衡待遇の対象となるものについては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理な相違を設けない旨をいうこと。派遣労働者の待遇のうち均等待遇の対象となるものについては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で差別的な取扱いをしない旨をいうこと。

②労使協定方式にあたって締結した労使協定書の内容にもとづき講ずることとしている措置の内容:派遣労働者の賃金及び賃金以外の待遇について、締結した労使協定書にもとづいて決定されている旨を説明をすること。

③派遣先均等・均衡方式の場合に、職務の内容などを勘案して賃金の決定をしたことの内容:均衡待遇の対象となる派遣労働者の賃金について、職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験その他の就業の実態に関する事項のうちどの要素を勘案するかをいうことを説明すること。

 なお、説明にあたっては、派遣労働者が、派遣元事業主が講ずる措置の内容を理解できるよう、書面を活用し、口頭により行うことが基本とされています。

ただし、説明すべき事項を全て記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の書面を用いる場合には、当該書面を交付する等の方法でも差し支えないとされています。

 以上が派遣労働者を雇い入れしようとするときの明示及び説明となります。
なお、こちらの内容は労働局の定期監査対象となっておりますので、漏れなく記載してください。



労働者派遣をしようとするときの明示及び説明とは


 派遣元事業主は、派遣元事業主は、労働者派遣(労使協定に係るものを除く。)をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対し、文書の交付などにより、労働条件に関する事項を明示するとともに、法第30条の3(均等・均衡待遇の確保)、第30条の4第1項(一定の要件を満たす労使協定に基づく待遇の確保)、第30条の5(職務の内容等を勘案した賃金の決定)の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関し講ずることとしている措置の内容を説明することが、派遣法第31条にて義務づけられています。

これは、「派遣先均等・均衡方式」による労働者派遣の場合、派遣先が変わるたびに待遇の内容が変わってくるため、労働者派遣のつど明示することを目的としています。

なお、労働者派遣をしようとするときの明示すべき項目は以下のとおりとなります。

〈記載すべき項目〉
①賃金の決定などに関する事項:退職手当、臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与、精勤手当、勤続手当、奨励加給及び能率手当を除きます。

②休暇に関する事項
③昇給の有無
④退職手当の有無
⑤賞与の有無
⑥協定対象派遣労働者であるか否かの別:協定対象派遣労働者である場合には、当該協定の有効期間の終期を記載すること。

 なお、明示は、文書の交付、FAXまたは電子メール等(FAXまたは電子メール等による場合にあっては、派遣労働者が希望した場合に限る。)の送信により行わなければならないとされています。

また、説明の内容および方法については「派遣労働者として雇い入れしようとするときの明示」と同様のものとなります。

 以上が労働者派遣をしようとするときの明示及び説明となります。
なお、こちらの内容は労働局の定期監査対象となっておりますので、漏れなく記載してください。


 

就業条件明示書による明示

 

 今回、ご説明しました「派遣労働者として雇い入れしようとするときの明示」、「労働者派遣をしようとするときの明示」の記載事項については、就業条件明示書の中に記載しても差し支えないこととされています。

書類の削減や運用面から、ほとんどの派遣事業主さまが就業条件明示書に明示しております。

 以上、今回は「派遣労働者として雇い入れしようとするときの明示」、「労働者派遣をしようとするときの明示」について説明いたしました。

派遣事業をするうえで、基本的な書類となりますので、ここでしっかりと確認しましょう。
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